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換価分割と遺産分割協議書の文言

遺産分割協議書の文言には注意を

 換価分割をする場合、遺産分割協議書にその旨を記載しなければいけません。詳細については後述しますが、換価分割の内容を書き忘れてしまうと税務上のリスクが生じます。

換価分割をする場合には、どのような文言を記載すべきか、書かなかった場合にはどのような問題が起きるのか。

下の方に換価分割の文言についても解説しています。これから換価分割をする方は是非参考にしてください。

このページは換価分割に関する遺産分割協議が成立する前の方に向けたものです。

換価分割の際に代表相続人へ名義を寄せる手法を使う

 前に解説をした内容かと思いますが、本ページの根本部分なので、簡単にもう一度解説します。詳しくは、こちらのページ(換価分割の前にする相続登記)の「換価分割の登記名義を誰にすべきか」の項目をご参照ください。

 換価分割をする際、既に売却することが決まっている場合には代表相続人に名義を寄せる手法を使うことがあります。売却代金を受け取る相続人全員がその割合を取得するような相続登記をしてもいいのですが、それだと売却時に売主(相続人)が多数になってしまい、売買が煩雑になってしまいます。

だったら、どうせ売ってしまうのだし、代表相続人に名義を寄せて、その人だけを売主にしてしまった方が売買の手続き上の煩わしさを極力減らすことができます。

売主が多数いる状態では色々と煩わしい?

不動産売却では、「所有者全員の意思の合致→売買→引渡し」というプロセスを辿ります。売主が複数人になってしまうと、所有者(共有者)全員の意思統制が取りにくくなりますし、時間もかかってしまいます。また、売買契約や決済時(平日)には売主全員の出席が基本ですから、全員の日程を調整していくのも大変です。ですから、不動産取引上では、売主が複数人いるような状態は関係者から嫌われます。不動産会社としても、相続登記の段階で代表相続人に名義を寄せるようなアドバイスをするのは、ここに理由があるわけです。

 ただし、代表相続人に名義を寄せるのはいいのですが、そこには問題点が出てきます。
ここからが本ページのメインテーマです。詳しく見ていきましょう。

代表相続人に名義を寄せると売却代金の分配行為が贈与扱いになってしまうことがある

 代表相続人に名義を寄せることが不動産取引上の有用な方法であるということは前述したとおりですが、何も考えずに代表相続人名義へ変更してしまうと、それが贈与税の課税リスクにつながることがあります。

仮の前提事例を用意して説明をしていきます。

前提事例
被相続人が父親、相続人が兄弟3人(長男・次男・三男)。
父親が亡くなったことで実家が空き家になり兄弟3人は換価分割を検討した。
3兄弟はそれぞれ仕事が忙しく平日に休みが取れるのが長男だけだったので長男が代表相続人となって名義を取得して3等分で換価分割をすることにした。
結果、3000万円で売却することができたので、長男は次男と三男にそれぞれ1000万円ずつ振込みをした。説明の便宜のため売却経費は考えません。

長男は売却して得た3000万円を3等分するため、次男へ1000万円、三男へ1000万円を振り込みましたので、これで、売却代金は無事に3等分となるわけです。

相続した不動産を3等分できたわけですから、3兄弟は何もトラブルなく公平かつ平和に遺産分割が終了できたと考えるでしょう。
ですが、ここに落とし穴が出てきます。

客観的に見て、第三者や税務署からすると、長男が次男と三男に渡した各1000万円はそれぞれ贈与をしたように見えてしまうのです。
相続人間で換価分割をしたと考えて分配した2000万円ですが、あくまでもそれは相続人の気持ちや内心でしかなく、対外的にその次男と三人に渡した2000万円が遺産分割の一環として行われたものだと証明することができないのです。
結果として贈与扱いになれば、次男と三男が贈与税を支払うことになってしまい、無駄に高額な税金を支払わなければいけないことになってしまいます。

と、ここまでは何も考えずに代表相続人に名義を寄せた場合の話ですから、そこはきちんと税務上のリスクを回避する方法がありますので、ご安心を。以下をご覧ください。

遺産分割協議書の換価分割の文言を記載する

 前述した内容は、対外的に売却代金の分配が贈与ではなく遺産分割の一環で行われたことが証明できずに贈与税が課税されてしまうリスクのお話しでした。
つまり、裏を返せば、客観的に見て換価分割であることをわかるようにすることができれば贈与税の課税リスクを回避することができるわけです。
その対外的な証明書とは、「遺産分割協議書」です。

そもそも、遺産分割は口頭でも法律上の効力が成立するわけですから、わざわざ遺産分割協議書を作成せずとも有効です。しかし、対外的(銀行・役所など)にもその協議内容を証明しなければいけないことが出てくるので、遺産分割協議書を作成して相続人全員が署名実印をするのです。
つまり、この遺産分割協議書に換価分割であること(売却代金の分配行為はあくまでも遺産分割の一環で行われたのだから贈与ではないですよ)を明記することによって、後々の税務署から贈与の指摘を回避することになります。
このことについては国税庁のサイトにも掲載されておりますから、適切な文言を記載することによって贈与税の課税リスクを回避することができるのは間違いないはずです。以下が国税庁サイトの抜粋です。

遺産の換価分割のための相続登記と贈与税

[照会要旨]
遺産分割の調停により換価分割をすることになりました。ところで、換価の都合上、共同相続人のうち1人の名義に相続登記をしたうえで換価し、その後において、換価代金を分配することとしました。この場合、贈与税の課税が問題になりますか。

[回答要旨]
共同相続人のうちの1人の名義で相続登記をしたことが、単に換価のための便宜のものであり、その代金が、分割に関する調停の内容に従って実際に分配される場合には、贈与税の課税が問題になることはありません。

国税庁サイト:「遺産の換価分割のための相続登記と贈与税」から

上記内容は、調停を前提としたものですが、遺産分割協議の場合も同様の趣旨であると解されます。よって、遺産分割によって便宜的に名義を取得して換価分割をした場合には、贈与税の課税が問題になることはないと思われます。

ただし、国税庁サイトの下の方に赤字で書かれてありますとおり、全ての事案において贈与税の課税がないというものではないようです。
おそらく、長期に渡って名義を持った状態で売却した場合には、「単に換価のための便宜のもの」という部分に該当しなくなり、贈与税が課税される可能性も考えられます。
個別具体的な状況によっては税金が課税される可能性も想定した方がよさそうです。

遺産分割協議書の換価分割の文言の書き方

遺産分割協議書の書き方については、2つの側面に注意をして行うべきです。それは、
①法務局が登記を受理してくれるか
②税務署が換価分割であることを認めてくれるか
この2つです。

遺産分割協議書

~省略~

第1条
被相続人が所有する下記不動産につき、長男○○○○が取得する。

不動産の表示
~省略~

第2条
前条で取得した不動産を売却によって換価し、当該売却手続きにかかる費用を控除した金額を長男○○○○、次男△△△△、三男□□□□がそれぞれ各3分の1の割合で相続する。

上記内容は実際に当事務所が実務上で作成した遺産分割協議書の文言です。この内容で法務局も税務所も問題なく受理されています。
およそ、この程度の書き方で差し支えないものと思われますが、各事案や提出先によって受理の審査基準が異なるため、この内容で必ず受理されるわけではないことを申し添えておきます。

 ここまで換価分割で注意しなければいけない遺産分割協議書の文言について解説をしてきました。

次の記事では、「相続不動産を換価分割する場合にかかる経費」に着目して解説をしていきます。売却経費は、予想以上にかかるものですから、最初の段階で絶対に知っておくべき知識だと思います。

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換価分割をする場合、遺産分割の前段階で決めておかなければいけないことが山積みです。とりあえず名義を変更して・・・それでもいいですが、最初から最後までのストーリーを決めてから進めていなかければ後戻りができなくなることも出てきます。スタートラインから換価分割に慣れた専門家へ相談をしておくことが無駄のない解決策といえます。

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【保有国家資格】
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