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みなし取得費と譲渡所得税を知る

みなし取得費と譲渡所得税を知る
 

換価分割するなら知っておくべき知識

 みなし取得費という言葉をご存知でしょうか。実家から出て都市部に移り住む相続人が増えた現代においては、実家を相続したとしても誰も管理する人がいなくなってしまうため、売却してその代金を相続人間で分け合う「換価分割」という方法を使う方が増えています。
換価分割をするなら、絶対に知っておくべき知識として、「みなし取得費」という考え方があります。そして、みなし取得費に関連して譲渡所得税についても合わせて知識として蓄えておくようにしましょう。そうしておかないと、相続不動産を売却して突然納付しなければいけなくなった高額な税金に驚いてしまうことになりえるからです。
 まずは、みなし取得費について知る前に前提知識として譲渡所得税について解説をします。

相続不動産を換価分割した際にかかる譲渡所得税とは

譲渡所得税の税率

課税譲渡所得金額に税率を掛けて税額を計算します。
税率は、「長期譲渡所得」になるか、「短期譲渡所得」になるかによって、下表のように異なります。
土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。
例えば、平成30年中に譲渡した場合は、その土地や建物の取得が平成24年12月31日以前であれば「長期譲渡所得」に、平成25年1月1日以後であれば「短期譲渡所得」になります。

税率

 所得税住民税
長期譲渡所得15%5%
短期譲渡所得30%9%

※確定申告の際には、所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税を申告・納付することになります。

国税庁HP「土地や建物を売ったとき」参照

 土地や建物を売却した際に、譲渡所得税という税金がかかる場合があります。これは、相続した不動産を売却した場合も同様に発生する税金です。
 譲渡所得税について簡単に説明をすると、売却する不動産を買った当時に価格から値上がりして売れた部分(譲渡益)について課税される税金です。例えば、10年前に2000万円で買ったマンションが今回3000万円で売れたとします。そうすると、買った当時から1000万円の利益を得たことになりますから、この1000万円の譲渡益について課税がされることになります。わかりやすくするため細かい説明を割愛していますが、簡単に譲渡所得税を説明するとこのようなイメージです。
つまり、当時購入した価格(取得費)よりも売却価格が高かった場合に発生する税金ですから、購入時より売却価格が低い場合には税金はかかりません(申告は必要です)。普通は築年数が経過すればするほど価値が下がるわけですから、値上がりなんてしないのでは?と考えられるかもしれませんが、そうとも言えません。大きく分けると値上がりするパターンは2つです。

1.土地の価格が高騰
2.物価の変動

建物は築年数が経てば価値は間違いなく落ちていきますが、土地の価格は違います。商業地域や駅近くの土地は高くなることがありますし、新幹線の駅や高速道路のインターができた地域は土地の価格が高騰することがあります。
また、譲渡所得税は物価の変動が考慮されないため、取得時期が昔であればあるほど、譲渡益が出てしまうことがあります。
相続の場合には、親世代(祖父母世代)が購入した不動産であるため、かなり昔に買っているはずです。つまり、相続した不動産を売却して換価分割をする場合には、この2つ目の「物価の変動」によって、譲渡益が発生してしまう可能性が大きいです。

買った当時の価格がわからない場合は「みなし取得費」

 特に相続した不動産の場合には、購入当時の資料が見つからない場合が想定されます(自分が買ったわけではないし親がどこにしまっていたのか不明)。その場合には、購入当時の価格を証明することができないため、「みなし取得費」を使って計算をすることになります。みなし取得費については、以下の国税庁サイトの引用文が参考になると思います。

みなし取得費とは

譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
取得費は、土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額です。
建物の場合は、購入代金などの 合計額から減価償却費相当額を差し引いた額です。
しかし、売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古いなどのため取得費がわからない場合には、取得費の額を売った金額の5%相当額とすることができます。
また、実際の取得費が売った金額の5%相当額を下回る場合も同様です。
例えば、土地建物を3,000万円で売った場合に取得費が不明のときは、売った金額の5%相当額である150万円を取得費とすることができます。
(所法33、38、措法31の4、措通31の4-1) 

国税庁HP「取得費がわからないとき」参照

 注目すべきは赤字の部分です。
「取得費の額を売った金額の5%相当額とすることができます。」
これが何を言っているかというと、今回売った代金の5%を取得費として計算してくださいよ、ということです。

上記の下の方の計算例にあるように、相続した実家が3000万円で売れたとすると、その5%ですから、150万円が取得費とみなすことができます。これをみなし取得費と言います。
相続の場合には、おおよそ長期譲渡所得となる場合が多いはずですから、長期譲渡所得で簡単に計算をしてみると

3000万円ー150万円=2850万円が譲渡益です。
2850万円に20%の税率がかかることになりますので、約570万円を譲渡所得税として納めることになります(わかりやすく説明するため経費等を考慮していません)。

まとめ

 このように、みなし取得費で計算をした場合には、売却価格の95%を基準として譲渡所得税を計算することになります。税金がかなり高額になってしまうので、取得費の価格を証明するということが非常に重要になってきます。

これから、親(祖父母)から相続した不動産を売却しようと考えているのなら、取得費を証明することができるような資料(売買契約書や領収書など)を是が非でも見つけていただき、購入当時の価格を証明できるようにしましょう。

なお、余談ですが、購入当時の価格の方がみなし取得費よりも低い場合があります。そういった場合には、買った当時の価格ではなく、みなし取得費を使った方が有利になることがあるようなので、譲渡所得税申告の際には税理士等の専門家へご相談されてください。

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・行政書士法人よしだ法務事務所代表
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