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相続した不動産を共有名義にするデメリット

相続した不動産を共有名義にするデメリットは?

不動産を共有にしてしまう問題点

 相続が開始し、相続財産に不動産があるならば不動産の名義変更=登記申請をしなければなりません。

この相続をきっかけとした登記申請ですが、多くの方が無知のまま共有名義で登記申請行っている現実があります。

相続不動産が共有になることには様々なリスクがあります。そのリスクについては不動産を相続する上で必ず知っておきたいことです。
今回はこの相続不動産を共有することのデメリットについて説明したいと思います。

相続人が不動産を共有で相続するキッカケ

 相続が開始すると、相続人は被相続人の財産を承継することになります。
相続人が1人の場合は、その者が単独で相続人となりますので、特段相続が複雑になることはありません。
これに対して相続人が複数人いる場合は、民法で相続する割合が決められています。


☆民法900条

第1順位配偶者・子2分の1・2分の1
第2順位配偶者・親(直系尊属)3分の2・3分の1
第2順位配偶者・兄弟姉妹4分の3・4分の1


上記の割合を法定相続分といいます。

相続財産の中で、預金のような分割が容易な財産については割合で相続することに障害はありませんが、不動産の場合は割合でその物自体を分割することはできません(土地は分筆により分割は可能ですが価値が著しく下がる)。

不動産を法定相続分の割合で相続する場合は、不動産自体を物理的に分割するのではなく、相続人間で不動産を権利的に共有することになり、権利上の法定相続分の割合は共有持分として反映されます。
そして、相続人間で話し合った結果、法定相続分とは違った方法で相続することが決まれば、特定の相続人が単独で相続したり、法定相続分とは違った割合で相続することも可能です(これを遺産分割といいます)。

つまり、法律上の原則は法定相続で、例外が遺産分割です。遺産分割をしない限りは、原則的な法定相続の割合で相続し、不動産が共有となってしまうわけです。

 遺産分割による相続って?

法定相続分とは違った相続の方法で、「預金を相続する相続人はA、不動産を相続する相続人はB」のように相続財産を相続人の協議で自由な方法で相続します。
相続はその家族ごとによって事情が異なるため、法定相続分で一括して処理してしまうのではなく、相続人による協議で柔軟な財産の承継も必要となります。
実務的には、法定相続よりも遺産分割をするケースの方が圧倒的に多いです。

法定相続分の割合で共有名義にするデメリット

 法定相続分の割合でそのまま不動産を相続することは、とてもデメリットの多い相続方法です。
「法定相続分は民法で規定されているから、それに従った方が良いのでは?」
「相続について家族間でもめることはないので、法定相続分で良いのでは?」
こう思われる方は非常に多いです。預金のような分割することが容易な財産についてはそのまま法定相続分の割合で相続してしまっても問題はありません。

しかし、不動産の相続については考えもなしにそのまま法定相続分の割合で相続することはリスクがあります。
そのリスクとは、法定相続分の割合で相続する=不動産の共有

不動産共有によって売却が難しくなるリスク

①売却時に名義人の意思の統一が難しくなる

 共有不動産の所有者の1人が不動産を売却したくなった場合、自分の持分だけを売却することはできます。他の共有者全員からの了承を得る必要はなく「理論上は」売却が可能です。あくまでも理論上は、です。
現実に共有不動産の持分のみを売却することは可能ではありますが、市場価格と乖離した低価格でしか売却することはできません。
その不動産の価値に見合った価格で売却するならば共有者全員で売却しなければなりません。つまり、共有者全員の意思(売却する)の一致が必要となります。
売却希望価格等で折り合いがつかなければ、折り合いがつくまで売却することができません。
 

②売却までの手間が多い

 不動産売却するまでには、不動産業者との媒介契約、土地家屋調査士への測量の依頼、共有者間での売却価格の合意、不動産売買契約締結、決済、譲渡所得税の申告など、様々な手続きを行わなければなりません。
これら手続きについては、共有者全員で行う必要があるものもあり、その都度全員が出席し、全員で対応となるスムーズに進まなくなります。
共有者の1人でも遠方に住んでいると、何度も遠方から訪れることになり、経済的にも負担になります。仮に共有者の代表者に代理してもらえる手続きだとしても、代表者の負担が増えることになります。
 

③共有者の意思能力

 相続で不動産が共有した場合で問題になりやすいのが、共有者の意思能力の問題です。
「意思能力」とは、簡単に説明すると本人が不動産を売買したいと意思表示できる能力のことです。意思表示を本人ができない場合は、売買契約を締結することはできず、仮に売買契約が締結されても、その売買契約は無効となります。
この「意思能力」が問題になることが多いのが共有者の中に認知症になってしまった方がいるケースです。
相続をする際には意思能力がしっかりしていたが、売却までの時間で認知症の症状が発生・悪化し、売却の意思表示できなくなってしまうような場合です。
こうなると売却することはできなくなり、唯一の売却の方法は後見人の選任する方法しかなくなります。そしてたとえ後見人がついても売却できるかどうかは後見人の判断次第となります。

不動産共有によって権利関係が複雑になるリスク

①相続発生

昨今非常に相談として多いのが、共有者の相続による不動産の権利関係の複雑化です。
最初の相続で、相続人が共有で相続し、その後更に相続人に相続が発生し、共有持分
が細分化され、共有者が増えてしまうことです。例えば被相続人がA、相続人がB、Cの場合に売却を進めるのはB、Cですが、Cに相続が発生してしまうとCの相続人がD、Eとするならば、売却を進めるのはB、D、Eとなるわけです。D、Eも共有者になるからです。

1.被相続人A→相続人B、C 
2.Cに相続が発生→B、D(Cの相続人として)、E(Cの相続人として)

既に相続人B、Cで売却の内容まで話を詰めていたとしても、その内容で売買契約に至ってなかった場合は、BはD、Eの了承を得なければ売買契約を進めることができなくなります。
上記のような例は、まだシンプルで話し合いも行いやすいと言えますが、現実で問題となるケースでは、数人だった共有者が数十人まで膨れ上がってしまい、売却の話し合いをすることも困難になってしまった事例があります。
共有者が増加すればするほど、親族の関係性も薄くなるため話し合いがより困難になります。
 

②第三者の登場

①のように共有者が親族であるのならば、人数さえ多くならなければ比較的売却の話し合いは行いやすいと言えます。
しかし、共有者に第三者が入ると話し合いは一気に難しくなります。
共有者において相続が複数回発生すると、その順序によっては血の繋がらない関係の共有者も登場します。また、共有者の中の親族が誰かに持分を譲渡してしまい第三者が共有関係に入ってきてしまうこともあります。
①にせよ第三者にせよ、時間の経過とともに、共有者間の話し合いは難しくなります。

とりあえずの法定相続は危険

 不動産は一度名義変更をしてしまうと、以前の状態にもどすこと(やり直し)はとても難しいです。そのため相続が発生した段階で相続不動産を今後どうしていきたいかを相続人間で明確にしておかなければなりません。

相続が開始した際に、相続人の間で方向性が決まっているのであれば、その内容に従って手続きを行えばよいですが、何も決まっておらず「とりあえず」の感覚で、法定相続分で登記申請をしてしまうことは避けるべきです。ここまで説明してきたように、不動産を共有で所有することのデメリットは非常に大きいです。

一度共有化した名義を元に戻すのも難しいことも含めて、不動産を相続する場合は、相続人の間で、不動産の今後の在り方をしっかり協議し、協議した内容に従って、手続きを進めていかなければなりません。

共有化することで今後どのような問題が発生するのか、自分達だけではそのリスクは見えにくいと思いますので、やはり司法書士等のプロにご相談いただくべきだと思います。一通りのリスクを承知のうえで共有にするのであれば、それは共有が正解なのです。
(当事務所では相続不動産の名義について多くの相談を受けてきておりますので、お困りのことがありましたらご相談ください。)

 便宜的換価分割の方法について

もし相続した不動産をすぐに売却する予定があるのならば、名義変更は相続人全員名義にするより、便宜的に代表相続人の単独名義で登記申請を行って売却した方が、何かと便利でスムーズに手続きを進めることができ、また遠方の相続人の負担軽減にもなります。税務上で贈与税が発生するリスクがありますので、代表者名義で登記をする場合には、当事務所までご相談ください。

相続した不動産の名義変更のことなら、当事務所までご相談ください!

 相続した不動産の名義を誰にすべきか?これは、一番に相続人の皆様の気持ちを最優先にすべきだと思います。ですが、何も考えずに名義変更をしてしまったことで、後々になって後悔することが出てくる危険性があります。

相続した不動産の名義は、一度変えてしまったら基本的に元に戻すことはできません。間違った選択をする前に、是非当事務所までご相談ください。
名義変更をした後の将来的なことまで考えて、お客様にアドバイスさせていただきます。

以下をクリックしていただければ、当事務所の不動産名義変更に関する業務案内や料金をご確認いただけます。

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当サイト内の相続・遺言コンテンツまとめ

相続の流れ①~⑧】
おおまかな相続手続きの流れを知ろう!
遺言書の探し方・遺言検索システムの方法を紹介。
相続人の調査方法は戸籍集めでやります。
肝心な相続財産の調査で遺産を把握しよう!
調査したら相続放棄か遺産分割かを決めましょう。
遺産分割協議書の作り方や遺産の書き方を学ぶ。
分割協議書を使って預貯金の相続手続きをしよう。
最後の難所「法務局で不動産の名義変更」

【相続(基本編)】
死亡以外でも相続が開始することがある?
相続に困ったときの公的な相談先一覧
養子は実子と同じように相続できる?
認知を受けた非嫡出子と嫡出子の相続分の違い
内縁の配偶者は相続人になる?
行方不明の相続人がいて困っている
相続させたくない相続人の相続権を奪う方法
生命保険金は相続財産になる?
死亡退職金は相続財産になる?
子供名義での銀行預金は相続財産になる?
相続した収益不動産の家賃は相続財産?
死亡・相続開始後すぐに行う手続きは
亡くなった人の水道光熱費や病院代の清算
葬儀代(葬式費用)の支払いは誰がする?
遺言書があっても遺産分割協議できるか
親の介護をしたら多く相続財産をもらえる?
相続財産が不動産だけの場合の遺産分割方法
相続税は誰が申告するの?
相続税はいつまでに申告するの?
相続税はいつまでに納付すればいいのか
相続税は分割払いできる?
相続税は現金以外でも払える?
準確定申告って?
相続税申告に必要な残高証明書とは
相続税の3つの控除を知りたい
相続時精算課税制度ってどんなもの?
遺産分割が成立しないと相続税申告できないの?
胎児も相続人になれるの?
相続人の範囲と法定相続分は?
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遺品整理業者へ頼むメリットは?
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法定相続情報一覧図と相続関係説明図の違いは?
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【相続(応用編)】
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相続財産の中に株式や国債があった場合の相続手続き
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​≫相続放棄と相続不動産の管理責任
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・行政書士法人よしだ法務事務所代表
・NPO法人よこはま相続センターみつば元代表理事
【保有国家資格】
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