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自宅と一緒に売れない土地を相続したら

自宅と一緒に売れない土地(山林や畑など)を相続したら
~いらない土地だけ相続放棄できる?~

いらない土地を相続してしまったら

 不動産は、大きく分けると資産価値のあるものと、そうでないもの(売れない、使い道がない)に分かれます。

相続のご相談を受けていると亡くなった方が自宅以外にも山林や僻地にある土地を持っていて、「自宅だけを相続して売れない土地は放棄したい」とおっしゃる方がいます。

実際にそんなことはできるのでしょうか?

ここでは、資産価値のある自宅以外に、全く使い道のないような土地を相続してしまった場合の対応方法について考えてみたいと思います。
なお、より深い知識を持っていただくために、法律の条文も載せています。少し難しく感じるかもしれませんが、深く理解していただくためなので、じっくりと読んでみてください。

なぜ被相続人が売れない土地を所有しているのか?
典型例をご紹介します

 今まで数多くの相続手続きを手掛けてきましたが、その経験則から申し上げると、自宅だけでなく、売れないような土地を別に所有しているケースは意外にも多いです。

被相続人が「自宅」を所有していて、それ以外に「売却困難な」不動産を持っているため、相続放棄を選択することができない実情があります。(後述しますが相続放棄をしてしまうと財産価値がある自宅まで相続できなくなってしまうため)

故人が資産価値のない土地を所有してしまったパターンはいくつか考えられます。以下が典型例だと思います。

  • 被相続人自身も親から売れない土地を相続してしまった
  • バブル時代に値上がりを見込んで僻地の別荘地をつかまされた
  • 過去使っていた農地や山林をそのまま所有している
  • 怪しい不動産業者に地価が上がると騙されて土地を購入してしまった
  • 所有していた土地が資産価値が下がって売却困難になった

 どれも考えられるパターンですが、中でも被相続人自身も相続したくなかった土地を親の世代から相続してしまったケースが多いものと思われます。
売れない土地を子供の世代へ承継し、また次の子供の世代に承継するといった、ある意味で「負の連鎖」が起こるのが、売れない土地の問題といえます。

売れない不動産を放棄して、資産価値のある不動産だけを相続することはできない

 結論からいうと資産価値のない不動産だけを相続放棄して、売却できそうな自宅だけを相続することはできません。これは、民法という法律に規定されているからです。
以下の条文をご覧ください。

民法第896条(相続の一般的効力)
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

 相続が発生した際の効力が民法第896条に定められていますが、この条文の「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」という部分がポイントになります。
一切の権利義務を承継する。とありますから、一部の権利や義務だけを相続することはできません。つまり、被相続人の財産は、売れない土地を含めて全て承継することになります。

当然、相続放棄を行うことで、被相続人が所有していた資産価値のない不動産(山林や畑など)財産を受け継がないことができますが、資産価値のある自宅のような不動産までも引き継ぐことができなくなります。

民法第939条(相続の放棄の効力) 
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。

 民法第939条の条文にあるように、相続放棄をした相続人は最初から相続人でなかったことになりますので、資産価値のない不動産だけでなく、それ以外の財産も全て相続することができなくなります。

このように、相続は全て法律の条文を根拠として成り立っていますので、難しいかもしれませんが、法律と合わせて検討をしていかなければいけません。

実際は誰かが犠牲となり資産価値のない不動産を引き継ぐしかない

 資産価値のあるような不動産を放棄するわけにいきませんから、実際問題として相続人の中の誰かが犠牲となって、売却困難な不動産を引き継ぐケースが実務上多いものと思われます。

当事務所にご依頼されたお客様のケースでいえば、自宅のような売却できる不動産を相続した相続人が売れない土地も合わせて引き継いだり、とりあえず長男が相続したり、とにかく誰かが犠牲となって遺産分割を完了させることが多いです。

ちなみに、
「自宅だけ相続登記をして、売却困難な山林・雑種地・農地のような土地については相続登記をせずに放置できますか?」
と質問を受けることがありますが、それはオススメできません。

勘違いしてはいけませんが、相続登記をしなければ売れない土地を相続せずにすむのではありません。
登記はあくまでも名義の問題であって、実際のところは相続開始(被相続人の死亡)時点において、相続人が財産を承継しています。
なので、相続登記をしなかったとしても、相続人が法定相続分の割合でその売れない土地も相続していることに違いはないのです。

その根拠は以下の条文です。民法882条によって、死亡により相続が開始します。そして民法896条の条文によって、相続開始の時から被相続人の財産を承継することになります。
「遺産分割の時から」とか「相続登記をしたときから」といったような書き方はしておりませんので、相続開始時点(死亡時)から財産的な価値のない土地も相続人が法定相続分の割合で相続することになるわけです。

民法第882条(相続開始の原因) 
相続は、死亡によって開始する。

民法第896条(相続の一般的効力)
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

 また、国は所有者不明の土地を減らす方向に法改正を行っていますので、現時点では相続登記に期限はありませんが、今後相続登記をいつまでにしなければいけないといった法改正が行われたり、相続登記をしないことで罰則が発生したりする可能性が考えられます。
いずれにせよ、資産価値のない土地だけを相続登記せずに放置することは考えない方がいいでしょう。

資産価値のない土地まで相続してしまったら、その後どうなるの?

 致し方なく相続人が資産価値のない土地を相続してしまったらどうなるのでしょうか?
処分しない限りは、固定資産税を払い続けなければいけませんし、何かその土地でトラブルが起きた場合には管理責任を負うリスクが残ります。また、手続き上として、山林や畑を相続した場合には、所有者変更の届出が必要となります。

処分もできず使い道もない土地だとしても手続き上で手間が発生しますので、本当に「いらない」と考えるのは当然のことだと思います。ですが、資産価値のないような土地であっても、やらなければいけない手続きはきちんと行うようにしましょう。

なお、一定の評価額以下(免税点以下)の不動産の場合には、毎年の固定資産税がかかりませんので、免税点よりも評価が低い不動産の場合には、固定資産税の支払いは必要ありません。

親から相続した売れない土地は、その次の世代(子)からまた次の世代(孫)へと問題を引き継いでしまう

 売れない土地は、基本的に処分ができませんから持ち続けるしかありません。
実情として、親は処分ができなかったので仕方なく自分が死ぬまで持っていたわけですから、子供の世代になってすぐに解決できるような簡単な問題ではありません。
それを引き継いだ子供は、親と同じように処分できずに売れない土地を持ち続けることになります。そのまま持ち続ければいつか自分も亡くなり、次の孫世代へその土地の問題を引き継いでいくことになります。

このように、売れない土地の問題は自分の世代で解決ができなければ次の世代、そして次の世代へと問題を先送りにするしかありません。
この負の連鎖は途絶えることなく繋がっていくことになりますから、売れない土地を所有してしまうことがどういうことなのか自覚を持つべきでしょう。
自分の子供たちに迷惑をかけることになるわけです

たまに「役所に寄付したりできませんか?」と言われることがありますが、残念ながらそれは難しいです。なぜなら役所もマイナスの財産の使い道がないからです。
国や市も、財産的な価値のない土地はいらないと考えるのが実際のようです。
空き家バンクのようなサイトに登録をすることも考えられますが、買い手が見つかるかどうか実効性について疑問を感じるところはあります。

売れない(資産価値のない)土地を相続しなくてもいい方法はないのか?

 残念ながら、それはできません。
誰も相続したくないと言ったとしても、相続人の中の誰かが犠牲となって売却困難な土地を相続するしかないのが現状です。

どうしてもいらないというなら、そもそも相続人でなかったことにする「相続放棄」を選択するしかありません。
相続放棄を選択すれば、いらない土地を相続することもなくなりますし、固定資産税等を毎年納め続けなければいけないリスクも回避できます。ですが、自宅や預貯金といった財産を取得することができなくなりますので、そのバランスを考えて、相続放棄を選択するというのも選択肢としてあると思います。

ただし、相続放棄をする場合には、管理責任が残ってしまうことだけしっかりと理解をしておいてください。
詳しくは別記事にありますのでここでは割愛しますが、財産を承継する相続人がいない場合には、相続放棄をした土地についての管理責任は負い続けなければいけません。
(別記事:相続放棄と相続不動産の管理責任
根拠は、以下の条文です。
残念ながら、相続放棄をしたからといって全ての責任から離脱することができるわけではありません。(固定資産税等の債務からは逃れられる)

民法第940条(相続の放棄をした者による管理)
1.相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

被相続人が自宅以外に、売れないような土地がある場合には結局どうすればいいのか

 こればかりは、個々の状況が違うため、確定的な回答はできません。ここまで解説をしてきたように、売れない(処分ができない)土地を相続してしまうと、自分の子供たちの世代、孫の世代、さらに下の世代へと問題を先延ばしてしまうことになります。

自分たちが困るだけならまだしも、自分の子供の世代に迷惑をかけるのはなるべく避けたいと考えるのが普通ではないでしょうか。

それぞれの親族関係(相続関係)、土地の状況など、個別の事情がありますので、解決策や対応方法は個々に検討していかなければなりません。

やはり自分たちだけで考えるのではなく、そういった事例を数多く経験してきた専門家へ相談をするのが一番だと思います。何もわからない人たちだけで考えても、道はひらけません。

当事務所では、自宅以外に売れない土地を相続した事例についてご相談お受けします

 お困りでしたら、当事務所までご相談ください。過去の経験則をいかして解決策をご提案できるかもしれません。また、売れない土地が地方(遠方)にあることも想定されますので、遠方であってもまずは一度ご相談いただけますでしょうか。

そもそも「自分が相続した土地がどこなのかさっぱりわからない」という方も実はかなり多いです。土地のみ(建物がない)の場合には住所が割り当てられませんので、現地がどこなのか全くわからない方も多いと思います。自分が行ったことすらない都道府県の土地を相続される方もいます。

当事務所では過去に様々売れない土地を相続してしまったケースを見てきていますので(実際に解決できた方もいます)、ご相談対応させていただきます。

※当事務所では、お電話やメールでの相談は一切お受けしておりませんので、必ずご来所のうえご相談いただきますようお願い申し上げます。

 なお、「相続」と「遺言」のことをもっと詳しく知りたいというお客様のために、相続と遺言に関する情報・基本知識から応用知識・参考資料や書式・銀行の相続手続きや相続税のことなど、当サイト内のありとあらゆる情報を詰め込んだ総まとめページのご用意がありますので、下記をクリックしてそのページへお進みください。

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当サイト内の相続・遺言コンテンツまとめ

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おおまかな相続手続きの流れを知ろう!
遺言書の探し方・遺言検索システムの方法を紹介。
相続人の調査方法は戸籍集めでやります。
肝心な相続財産の調査で遺産を把握しよう!
調査したら相続放棄か遺産分割かを決めましょう。
遺産分割協議書の作り方や遺産の書き方を学ぶ。
分割協議書を使って預貯金の相続手続きをしよう。
最後の難所「法務局で不動産の名義変更」

【相続(基本編)】
死亡以外でも相続が開始することがある?
相続に困ったときの公的な相談先一覧
養子は実子と同じように相続できる?
認知を受けた非嫡出子と嫡出子の相続分の違い
内縁の配偶者は相続人になる?
行方不明の相続人がいて困っている
相続させたくない相続人の相続権を奪う方法
生命保険金は相続財産になる?
死亡退職金は相続財産になる?
子供名義での銀行預金は相続財産になる?
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・NPO法人よこはま相続センターみつば元代表理事
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数
 

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