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記事監修者:司法書士・行政書士 吉田隼哉
限定承認の概要や手続き方法
相続の手続きの中に『限定承認』というものがあるのをご存知でしょうか。
限定承認は相続に関係する手続きの1つで、とても理想的な内容の手続きに思えますが、実際に利用する人がほとんどいない実態があります。
今回は、この限定承認について詳しく解説したいと思います。
目 次
≫ 単純承認、相続放棄、限定承認
≫ 限定承認の概要
≫ 限定承認の手続きと注意点
≫ 限定承認があまり使われない理由
≫ まとめ
被相続人が亡くなると相続財産を相続人が相続することになります。
相続する財産は、被相続人が死亡時に有していたすべての財産です。もし相続財産に借金が含まれていたら相続人は被相続人の借金も相続することになり、自分が借りたわけでもない借金を返済していかなければなりません。
相続人が借金を相続したくない場合は、「相続放棄」をすることで相続関係から離脱できます。相続放棄をすると、相続人は相続人の地位を失うことになり、相続財産を一切相続しません。すなわち借金も相続しません。(関連記事:相続放棄とは)
これに対して、相続開始から一定の期間が経過するか、相続人が相続財産の処分等を行うと、相続する意思があったものとみなされます。これを「単純承認」と言います。(関連記事:単純承認とは)
全財産を相続する単純承認、全財産を相続しない相続放棄。この2つはとても極端な効果を生む手続きです。
そして、乖離するこの2つの間を埋めるものが「限定承認」です。
限定承認とは、プラス財産の限度においてマイナス財産を相続する制度です。まずは、限定承認について規定した条文をご覧ください。
民法第922条(限定承認)
相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。
限定承認の手続きをするためには、いくつか注意点があります。以下をご確認ください。
[限定承認の注意点]
①限定承認は、相続人全員で限定承認を行う必要があります。
相続人の1人でも相続(または相続放棄)する方針である場合は、限定承認を行うことはできません。
②限定承認をする場合は、相続放棄の申述期間内(自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内)に相続財産の財産目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認の申述も併せて行う必要があります。
③相続人は相続財産を手続き完了まで管理しなければいけません。
④相続人は債権者に対して、限定承認後5日以内に「限定承認をした旨」、「期間内に申出をしてほしい旨」を公告しなければいけません。相続人が既に認識している債権者には個別に公告が必要になります。
⑤相続人は上記期間内に、債権者へ返済してはいけません。勝手に返済をした場合は、その他の債権者に損害の賠償義務が生じます。
⑥相続人は返済のために、財産を売却する必要がある場合は、売却を行う必要があります。
限定承認が実務上使われにく理由は、主に以下のものです。
・相続人が行わなければいけないことが多い
・財産目録の作成をすれば、プラスマイナスの相続財産が把握でき、相続か相続放棄かを選択できる
・限定承認できる期間が短い
・相続放棄を伸長し、その間に財産を調査すれば相続か相続放棄かを選択できる
・専門家に依頼すると費用がかかる
限定承認を行うことにメリットがある相続事案は、
「プラス財産もマイナス財産も多く、熟慮期限内にすべての財産の把握が難しい場合」「財産目録に記載がない借金があるかもしれない場合」
他にも、「金融資産が少なく不動産が主な財産で、実際に不動産を売却してみないとプラスかマイナスか判断できないような場合」です。
それ以外の場合では、限定承認を行うメリットはあまりありません。
更に限定承認を行うケースでは、弁護士に依頼する場合が多く、その分費用も相当掛かり、相続人の負担が多くなってしまいます。
限定承認は理想的な効果を生む手続きではあるものの、相続人自身がこの手続きを選択することは少なく、実務的にはほとんど利用されていない実情があります。
限定承認は、あまり利用されることがない手続きと言われています。
実際に、家庭裁判所に対して行う限定承認の申述は非常に手間で時間がかかるものですし、限定承認に対応してくれる専門家が少ないことも利用件数が少ない要因になっているかもしれません。
財産規模が小さい相続事案ですと、費用と時間ばかりかかってしまい、最悪のケースでは最終的には赤字になってしまうことも考えられます。もし限定承認をしたいとお考えでしたら、限定承認まで対応してくれる事務所を探して、一度ご相談していただくことをお勧めします。
相続・遺言を解決する当事務所では、相続手続きや遺言書作成についてお困りのご相談者様のお話をじっくり聞いて、専門家との連携により全ての手続きを一括サポートさせていただきます。どこに相談していいのかわからないといった方はまず当事務所までご相談ください。親切丁寧に司法書士・行政書士が対応いたします。
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この記事の監修者 / 司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所 代表司法書士 吉田隼哉
平成23年度の司法書士試験合格後、司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所を開業。相続・遺言の分野に専門特化し、ご依頼者に対しての総合的なサポートを目指す。テレビ「NHKクローズアップ現代」や雑誌プレジデント・AERA等の執筆、メディア実績多数。
・神奈川県司法書士会所属(登録番号1786)
・神奈川県行政書士会所属(登録番号16091063)
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相続の流れ①~⑧】
①おおまかな相続手続きの流れを知ろう!
②遺言書の探し方・遺言検索システムの方法を紹介。
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④肝心な相続財産の調査で遺産を把握しよう!
⑤調査したら相続放棄か遺産分割かを決めましょう。
⑥遺産分割協議書の作り方や遺産の書き方を学ぶ。
⑦分割協議書を使って預貯金の相続手続きをしよう。
⑧最後の難所「法務局で不動産の名義変更」
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≫認知を受けた非嫡出子と嫡出子の相続分の違い
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≫相続させたくない相続人の相続権を奪う方法
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≫死亡退職金は相続財産になる?
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≫死亡・相続開始後すぐに行う手続きは
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≫葬儀代(葬式費用)の支払いは誰がする?
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≫相続財産が不動産だけの場合の遺産分割方法
≫相続税は誰が申告するの?
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≫準確定申告って?
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≫ネット銀行の相続手続き
≫相続した預貯金の仮払い制度
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≫預貯金の相続手続きと期限
≫遠方の銀行や証券会社の相続手続き
【遺言】
≫遺言専門家について①
≫遺言専門家について②
≫親に揉めない遺言書を書いてもらう方法
≫遺言書に気持ちを込める「付言事項」
≫遺留分とは?
≫自筆証書遺言について
≫公正証書遺言について
≫秘密証書遺言について
≫遺言執行者とは
≫遺言の撤回(取り消し)・変更の方法
≫遺言者死亡後の遺言執行の流れ
≫遺言書の検認手続き
≫遺言書による相続登記(不動産の名義変更)
≫遺言書を書くべき人とは
≫遺留分侵害額請求権について
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≫作った遺言書を失くしてしまった
≫遺言書の検認証明書の見本
≫夫婦が一緒に遺言書を作成する場合
≫自筆証書遺言の失敗例・使えない遺言
≫包括遺贈と特定遺贈の違いとは
≫遺贈と死因贈与の比較
≫受遺者が先に死亡した場合の遺言の効力は
≫遺言が複数見つかったらどうなる
≫遺贈寄付とは
≫遺贈寄付を依頼する専門家の選び方
≫遺贈寄付で気を付けなければいけない3つの注意点
≫死後事務委任契約とは
≫妻の亡き後、身寄りがない私の財産を寄付したい
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≫相続税の納付資金を売却代金で用意
≫相続手続きを至急で完了
≫相続した駅前の賃貸マンション一棟を遺産分割
≫出張で病室に出向き遺言書作成をサポート
≫疎遠な叔父の相続手続き
≫相続した土地を分筆して兄弟で分けた事例
≫遺留分権利者がいる場合の相続手続き
≫相続で代々引き継いできた土地を処分
≫相続と贈与を使って自宅名義の権利調整
≫多額のローンが残ったアパートを相続
≫遺言の内容と異なる遺産分割をして解決
≫高齢な相続人が複数いるケース
≫全く知らない相続人が判明した事例
≫相続した空き家の控除を使って換価分割
≫遺産分割前に相続人の一人が死亡した事例
≫貸金庫に多額の現金が見つかった事例
≫遺言を公正証書で作り直し
≫田舎の土地を相続放棄したい
≫公正証書遺言を親に書いてほしい子の相談
≫相続したマンションの名義変更
≫相続手続きの途中で遺言を発見
≫付言事項つきの遺言に思いを残す
≫子供のいない夫が死亡した相続手続き
≫法定相続情報を使った相続手続き
≫相続した実家の名義変更を解決
≫借地上のアパートを相続してしまった
≫登記識別情報が見つからない相続手続き
≫遺言執行者から委任を受けて解決
≫団体信用生命保険を使う相続案件
≫成年後見人と遺産分割をして解決
≫相続財産が不明な場合の遺産相続
≫遺言を子供たちに内緒で作った事例
≫父親が亡くなったことによる遺産分割
≫子供のいない夫婦がお互いに遺言を書く
≫両親が亡くなった後の遺産分割を解決
≫多額の生命保険金で相続税がかかる事例
≫疎遠な父親の財産を相続放棄
≫相続したタワーマンションの名義変更
≫公正証書での遺言を作成した事例
≫部屋で亡くなったマンションの売却を解決
≫田舎の土地と自宅をセットで売却処分
≫遺産相続と会社の清算を同時に解決
≫父親に遺言書を書いてもらいたい
≫未成年者の特別代理人を選任した事例
≫子供の1人が相続放棄をしてから遺産分割
≫相続登記の移転漏れを解決
≫故人の遺言書が複数見つかった事例
≫甥と姪が相続人となった相続を解決
≫被後見人が死亡した相続手続きを解決
≫仕事が忙しい相続人の代理で手続き
≫相続税の基礎控除を超える遺産の相続手続
≫空き家を解体して更地で売却した事例
≫相続した共有持分の相続登記をした事例
≫証券保管振替機構に開示請求した事例
≫職場近くの事務所に相続手続きを依頼
≫途中までやって断念した相続を解決
≫無効な内容の自筆証書遺言が見つかった
≫急死した母親の相続手続き
≫相続した自宅の名義変更と相続税申告
≫相続した未登記建物の名義変更
≫相続したゴミ屋敷を遺品整理後に売却
≫借金まみれで亡くなった父親の相続放棄
≫役所の相談会で解決できなかった相続
≫胎児が相続人となった相続を解決
≫相続した土地を遺産分割で解決
≫孤独死した叔父の相続財産を遺産分割
≫自殺した兄の遺産を相続放棄した事例
≫遺留分合意書を交わして解決した事例
≫孤独死があった家を売却処分した事例
≫貸金庫の解約を含む相続手続きを解決
≫昔の遺産分割協議書で相続登記した事例
≫相続登記の義務化の前に名義変更したい
≫コロナ禍における遺言作成
≫お客様作成の遺産分割協議書で相続登記
≫コロナで帰国困難な相続人からの依頼
≫数次相続が複数発生している相続
≫自殺があった家を売却・現金化して解決
≫相続した実家を兄弟の共有名義にする
≫独身で子供のいない兄弟の相続
≫遺言検索システムを利用し遺言を発見
≫離婚した父親が亡くなった連絡を受けた
≫法定相続分の登記後に遺産分割した事例
≫遺言執行者選任申立て後の相続手続き
≫付言事項で紛争を回避した事例
≫株式が主たる相続財産の遺産分割を解決
≫滞納税金を相続放棄して解決した事例
≫法定相続情報一覧図で金融機関の相続
≫相続放棄の期間伸長を行い財産調査
≫エンディングノートで遺言の存在を知る
≫被相続人代表の有限会社が残っていた
≫昔の遺言を撤回して公正証書遺言を作成
≫子なし夫婦がお互いに遺言書作成
≫ネット銀行の相続手続きを解決
≫叔母に遺言書を書いてもらった事例
≫検認済みの自筆証書遺言を使った相続手続き
≫親の終活として公正証書遺言を作成
≫未申告の相続税と相続手続き
≫自宅内で亡くなっていた叔父の相続
・雑誌「プレジデント」2020.12.18号
・テレビ「NHKクローズアップ現代」2019.12.19放送
・「経理WOMAN」2019 NO.280
・雑誌「AERA」2018.4.15号
・週刊「女性自身」2018.10.2号
・雑誌「AERA」2017.1.23号 他
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司法書士・行政書士 吉田隼哉
神奈川県司法書士会所属
神奈川県行政書士会所属
「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
・司法書士よしだ法務事務所代表
・行政書士法人よしだ法務事務所代表
・NPO法人よこはま相続センターみつば元代表理事
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数
東京オフィス代表 松浦祐大
東京オフィス代表のプロフィール
町田オフィス代表 飯田拓直
町田オフィス代表のプロフィール
接客担当 田沢
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