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みなし取得費と譲渡所得税を知る

更新日:2022/1/19

みなし取得費と譲渡所得税を知る

記事監修者:司法書士・行政書士 吉田隼哉

換価分割するなら知っておくべき知識

 みなし取得費という言葉をご存知でしょうか。

実家から出て都市部に移り住む相続人が増えた現代においては、実家を相続したとしても誰も管理する人がいなくなってしまうため、売却してその代金を相続人間で分け合う「換価分割」という方法を使う方が増えています。

換価分割をするなら、絶対に知っておくべき知識として、「みなし取得費」という考え方があります。そして、みなし取得費に関連して譲渡所得税についても合わせて知識として蓄えておくようにしましょう。そうしておかないと、相続不動産を売却して突然納付しなければいけなくなった高額な税金に驚いてしまうことになりえるからです。

 まずは、みなし取得費について知る前に前提知識として譲渡所得税について解説をします。

相続不動産を換価分割した際にかかる譲渡所得税とは

 土地や建物を売却した際に、譲渡所得税という税金がかかる場合があります。これは、相続した不動産を売却した場合も同様に発生する税金です。
まずは、譲渡所得税について以下をご確認ください。

譲渡所得税の税率

譲渡所得金額に税率を掛けて税額を計算します。
税率は、「長期譲渡所得」になるか、「短期譲渡所得」になるかによって、下表のように異なります。
土地や建物を売った年の1月1日現在で、その土地や建物の所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」に、5年以下の場合は「短期譲渡所得」になります。
例えば、令和3年中に譲渡した場合は、その土地や建物の取得が平成27年12月31日以前であれば「長期譲渡所得」に、平成28年1月1日以後であれば「短期譲渡所得」になります。

税率

 所得税住民税
長期譲渡所得15%5%
短期譲渡所得30%9%

※確定申告の際には、所得税と併せて基準所得税額(所得税額から、所得税額から差し引かれる金額を差し引いた後の金額)に2.1%を掛けて計算した復興特別所得税を申告・納付することになります。

国税庁HP「土地や建物を売ったとき」参照

 譲渡所得税について簡単に説明をすると、売却する不動産を買った当時に価格から値上がりして売れた部分(譲渡益)について課税される税金です。

例えば、10年前に2000万円で買ったマンションが今回3000万円で売れたとします。そうすると、買った当時から1000万円の利益を得たことになりますから、この1000万円の譲渡益について課税がされることになります。わかりやすくするため細かい説明を割愛していますが、簡単に譲渡所得税を説明するとこのようなイメージです。
つまり、当時購入した価格(取得費)よりも売却価格が高かった場合に発生する税金ですから、購入時より売却価格が低い場合には税金はかかりません。

譲渡益が発生するケース

 普通は築年数が経過すればするほど価値が下がるわけですから、値上がりなんてしないのでは?と考えられるかもしれませんが、そうとも言えません。大きく分けると値上がりするパターンは2つです。

①土地の価格高騰
②物価の変動

いずれか一つの要因で譲渡益が発生するのではなく、①と②が混ざり合って譲渡益を生み出します。それぞれ個別に説明をしていきます。

①土地の価格高騰

 建物は築年数が経てば価値は間違いなく落ちていきますが、土地の価格は違います。商業地域や駅近くの土地は高くなることがありますし、新幹線の駅や高速道路のインターができた地域は土地の価格が高騰することがあります。

特に土地の価格が高騰しているのは、東京23区のような都市部に顕著にあらわれています。極端な例で言えば、50年前に300万円で購入した目黒区の土地が、現在では8000万円になっているようなケースもありえます。

地方に比べて、土地の高騰が起きているような都市部では、譲渡益の発生に注意をしなければいけません。

②物価の変動

 不動産売却時の譲渡益では、物価の変動も影響してきます。

いまの1円の価値と、50年前の1円の価値は大きく違います。50年前に100円で買えた同じモノを、いま100円で買うことはできないはずです。
譲渡所得税は物価の変動が考慮されないため、取得時期が昔であればあるほど、譲渡益が出てしまうことがあります。

相続の場合には、親世代(祖父母世代)が購入した不動産であるため、かなり昔に買っているはずです。つまり、相続した不動産を売却して換価分割をする場合には、この2つ目の「物価の変動」によって、譲渡益が発生してしまう可能性が出てきます。
今後もインフレによってモノの値段が上昇し続けるものと考えられていますので、取得した時から時間が経過した不動産を売却する場合には注意が必要です。

買った当時の価格がわからない場合は「みなし取得費」

 特に相続した不動産の場合には、購入当時の資料が見つからない場合が想定されます(自分が買ったわけではないし親がどこにしまっていたのか不明)。その場合には、購入当時の価格を証明することができないため、「みなし取得費」を使って計算をすることになります。みなし取得費については、以下の国税庁サイトの引用文が参考になると思います。

みなし取得費とは

譲渡所得の金額は、土地や建物を売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
取得費は、土地の場合、買い入れたときの購入代金や購入手数料などの合計額です。
建物の場合は、購入代金などの 合計額から減価償却費相当額を差し引いた額です。
しかし、売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古いなどのため取得費がわからない場合には、取得費の額を売った金額の5%相当額とすることができます。
また、実際の取得費が売った金額の5%相当額を下回る場合も同様です。
例えば、土地建物を3,000万円で売った場合に取得費が不明のときは、売った金額の5%相当額である150万円を取得費とすることができます。
(所法33、38、措法31の4、措通31の4-1) 

国税庁HP「取得費がわからないとき」参照

 注目すべきは赤字の部分です。
「取得費の額を売った金額の5%相当額とすることができます。」
これが何を言っているかというと、今回売った代金の5%を取得費として計算してくださいよ、ということです。

上記の下の方の計算例にあるように、相続した実家が3000万円で売れたとすると、その5%ですから、150万円が取得費とみなすことができます。これをみなし取得費と言います。
相続の場合には、おおよそ長期譲渡所得となる場合が多いはずですから、長期譲渡所得で簡単に計算をしてみると

3000万円ー150万円=2850万円が譲渡益です。
2850万円に20%の税率がかかることになりますので、約570万円を譲渡所得税として納めることになります(わかりやすく説明するため経費等を考慮していません)。

取得費の証明が重要となる

 このように、みなし取得費で計算をした場合には、売却価格の95%を基準として譲渡所得税を計算することになります。税金がかなり高額になってしまうので、取得費の価格を証明することがどれだけ重要かお分かりいただけるはずです。

これから、親(祖父母)から相続した不動産を売却しようと考えているのなら、取得費を証明することができるような資料(売買契約書や領収書など)を是が非でも見つけていただき、購入当時の価格を証明できるようにしましょう。

なお、余談ですが、購入当時の価格の方がみなし取得費よりも低い場合があります。そういった場合には、買った当時の価格ではなく、みなし取得費を使った方が有利になることがあるようなので、譲渡所得税申告の際には税理士等の専門家へご相談されてください。

取得時の売買契約書や領収書に代わるもの

 実際問題として、親(祖父母)世代が購入した当時の売買契約書や領収書が残っていることは少ないと思いますので、それらの書類に代えて、取得時の価格証明に使えることができないか?と考えるはずです。
例えば、以下のような書類から、購入時の価格を証明できないでしょうか?

・住宅ローンの書類
・登記簿謄本の抵当権設定登記の債権額
・販売図面やパンフレット
・仲介業者が作成した決済時の計算書
・近隣住民や不動産業者から聴取

これらは、どれも購入時の売買価格を証するものではありませんが、ある程度の売買価格を推定することができるものです。
住宅ローンとして組んだ債権額であれば、およそそれが売買価格になるものと考えられますし、販売図面やパンフレットがあれば、その金額に近い売買価格で購入したものと思われるはずです。
しかし、それらをもって、確実な売買価格として証することができませんので、やはり売買契約書や支払った際の領収書に比べると証明力が劣ります。

残念ながら、これらを使って取得時の価格証明にするには弱いと考えられますので、税理士や税務署に確認を取った方がいいと思います。

取得時の売買契約書や領収書に代わるもの

 取得時の価格を証明することができないと、みなし取得費で計算するしかなくなってしまいます。みなし取得費で計算をすると、譲渡益が大きくなってしまう傾向にありますので、なんとしてでも取得価格を証明する書類(売買契約書など)を発見していただき、譲渡所得税の納付額を抑えるようにしていただいた方がいいと思います。

なお、もし取得価格を証明することができなくても、相続した空き家の特例を使えば3000万円の控除を受けることができる可能性があります。≫空き家の譲渡所得税3000万円の特別控除
相続した空き家の特例は要件が非常に厳しいので、当事務所にご相談いただければ、税理士や不動産業者・建物解体業者等と総合的に適用に向けて進めていくことができますので、一度ご相談くださいませ。

相続した空き家を売却・処分したいとお困りでしたら当事務所までご相談ください!

相続した空き家を売却するためには、不動産の現況を踏まえたうえで、手続きの方針を決めていかなければいけません。また、相続人との遺産分割での権利関係の調整も必要になってきますので、相続と不動産を総合的に考えていくことが必要になります。

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最後の難所「法務局で不動産の名義変更」

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相続税は誰が申告するの?
相続税はいつまでに申告するの?
相続税はいつまでに納付すればいいのか
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相続税は現金以外でも払える?
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相続税申告に必要な残高証明書とは
相続税の配偶者控除とは
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あるはずの遺言が見つからない
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凍結された死者名義の定期預金の口座を解約したい
遺品の中から直筆の遺言書がでてきたら
遺言執行者・遺言保管者に専門家を指定して解決
節税対策の相続放棄
会ったこともない相続人との遺産分割協議
相続税申告期限が間近の遺産分割協議
公正証書遺言による不動産の名義変更
認知症の母親に相続させずに遺産分割したい
面倒な相続手続きはやりたくない

遺言の内容を知らせずに相続手続きを進めたい
相続した定期借地権付の建物を売却処分
相続した売れない土地を相続放棄せずに解決
相続で共有になった土地の持分売買
甥と遺産分割して相続手続きを解決
母親に遺言書を書いてほしい
遺留分を支払って相続手続きを解決
再建築不可の相続した戸建てを換価分割したい
放置された遠方の空き家を処分したい
業者から購入希望の連絡を受けて相続登記
相続税の納付資金を売却代金で用意
相続手続きを至急で完了
相続した駅前の賃貸マンション一棟を遺産分割
出張で病室に出向き遺言書作成をサポート
疎遠な叔父の相続手続き
相続した土地を分筆して兄弟で分けた事例
遺留分権利者がいる場合の相続手続き
相続で代々引き継いできた土地を処分
相続と贈与を使って自宅名義の権利調整
多額のローンが残ったアパートを相続
遺言の内容と異なる遺産分割をして解決
高齢な相続人が複数いるケース
全く知らない相続人が判明した事例
相続した空き家の控除を使って換価分割
遺産分割前に相続人の一人が死亡した事例
貸金庫に多額の現金が見つかった事例
遺言を公正証書で作り直し
田舎の土地を相続放棄したい
公正証書遺言を親に書いてほしい子の相談
相続したマンションの名義変更
相続手続きの途中で遺言を発見
付言事項つきの遺言に思いを残す
子供のいない夫が死亡した相続手続き
法定相続情報を使った相続手続き
相続した実家の名義変更を解決
借地上のアパートを相続してしまった

登記識別情報が見つからない相続手続き
遺言執行者から委任を受けて解決
団体信用生命保険を使う相続案件
成年後見人と遺産分割をして解決
相続財産が不明な場合の遺産相続

遺言を子供たちに内緒で作った事例
父親が亡くなったことによる遺産分割
子供のいない夫婦がお互いに遺言を書く
両親が亡くなった後の遺産分割を解決
多額の生命保険金で相続税がかかる事例
疎遠な父親の財産を相続放棄
相続したタワーマンションの名義変更
公正証書での遺言を作成した事例
部屋で亡くなったマンションの売却を解決
田舎の土地と自宅をセットで売却処分

遺産相続と会社の清算を同時に解決
父親に遺言書を書いてもらいたい
未成年者の特別代理人を選任した事例

子供の1人が相続放棄をしてから遺産分割
相続登記の移転漏れを解決
故人の遺言書が複数見つかった事例
甥と姪が相続人となった相続を解決
被後見人が死亡した相続手続きを解決
仕事が忙しい相続人の代理で手続き

相続税の基礎控除を超える遺産の相続手続
空き家を解体して更地で売却した事例
相続した共有持分の相続登記をした事例

証券保管振替機構に開示請求した事例
職場近くの事務所に相続手続きを依頼
途中までやって断念した相続を解決
無効な内容の自筆証書遺言が見つかった
急死した母親の相続手続き
相続した自宅の名義変更と相続税申告
相続した未登記建物の名義変更
相続したゴミ屋敷を遺品整理後に売却
借金まみれで亡くなった父親の相続放棄
役所の相談会で解決できなかった相続
胎児が相続人となった相続を解決
相続した土地を遺産分割で解決
孤独死した叔父の相続財産を遺産分割
自殺した兄の遺産を相続放棄した事例
遺留分合意書を交わして解決した事例
孤独死があった家を売却処分した事例
貸金庫の解約を含む相続手続きを解決
昔の遺産分割協議書で相続登記した事例
相続登記の義務化の前に名義変更したい
コロナ禍における遺言作成
お客様作成の遺産分割協議書で相続登記

コロナで帰国困難な相続人からの依頼
数次相続が複数発生している相続
自殺があった家を売却・現金化して解決
相続した実家を兄弟の共有名義にする
独身で子供のいない兄弟の相続
遺言検索システムを利用し遺言を発見
離婚した父親が亡くなった連絡を受けた
法定相続分の登記後に遺産分割した事例
遺言執行者選任申立て後の相続手続き
付言事項で紛争を回避した事例
株式が主たる相続財産の遺産分割を解決
滞納税金を相続放棄して解決した事例
法定相続情報一覧図で金融機関の相続
相続放棄の期間伸長を行い財産調査
エンディングノートで遺言の存在を知る
被相続人代表の有限会社が残っていた
昔の遺言を撤回して公正証書遺言を作成
子なし夫婦がお互いに遺言書作成
ネット銀行の相続手続きを解決
叔母に遺言書を書いてもらった事例
検認済みの自筆証書遺言を使った相続手続き
親の終活として公正証書遺言を作成
未申告の相続税と相続手続き
自宅内で亡くなっていた叔父の相続

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当事務所の取材・執筆実績

・雑誌「プレジデント」2020.12.18号
・テレビ「NHKクローズアップ現代」2019.12.19放送
・「経理WOMAN」2019 NO.280
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・雑誌「AERA」2017.1.23号 他

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 司法書士・行政書士 吉田隼哉

神奈川県司法書士会所属
神奈川県行政書士会所属

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
・司法書士よしだ法務事務所代表
・行政書士法人よしだ法務事務所代表
・NPO法人よこはま相続センターみつば元代表理事
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数
 

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