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子供のいない夫婦が遺言書を書くべき理由

更新日:2021/9/26

子供のいない夫婦が遺言書を書くべき理由

記事監修者:司法書士・行政書士 吉田隼哉

子なし夫婦こそ遺言書を書くべき?!

 子供がいない夫婦のどちらか一方が亡くなった場合、亡くなった人の財産はどうなるのでしょうか?
子供がいないのだからすべての財産が残された配偶者のものになると思われる方もいらっしゃいますが、実は違います。

遺言書を作成している場合には遺言書に書いてある内容を基礎としますが、作成していない場合には被相続人の親又は兄弟姉妹に対して相続割合で財産が拡散してしまうことになります。

ここでは子供のいない夫婦が遺言を作るべき理由について解説していきたいと思います。

子なし夫婦の一方が死亡したら

 冒頭でも触れましたが、明確にしておきたいので、強調してお伝えします。

「子なし夫婦の一方が死亡した場合の相続権は、全て配偶者のものにはなりません。」

 子供がいれば配偶者と子供が法定相続人になりますが、子供がいない夫婦の一方が死亡すると、配偶者と被相続人の親が2/3と1/3の割合で、被相続人の親がすでに亡くなっている場合には配偶者と兄弟姉妹が3/4と1/4の割合で相続することになります。
そのため遺言書を作成していない場合には、二人で築いた財産を被相続人の親又は兄弟姉妹で遺産分割協議をしなければいけないことになってしまいます。

残された配偶者に遺産分割をさせるのは酷

 遺産分割協議は、法定相続人全員と遺産をどのように相続させるのか話し合い、遺産分割協議書に実印で押印し、印鑑証明書を提出してもらわなくてはなりません。遺産分割協議がスムーズに進めばよいのですが、中にはトラブルになるケースもあります。
夫婦で住んでいた「家」も、遺産分割の対象となりますから、場合によっては売却して出ていかなければいけないこともありえます。

そのようなことを避けるためにも、子供がいない夫婦の場合には遺言書を残すべきと言えます。
自らが死亡した後に、自分側の親族と配偶者に遺産分割協議をさせるのは酷です。もし配偶者に全財産の残してあげたいと考えるなら、迷わず遺言書を書くべきです。

なお、兄弟姉妹には遺留分がないため、財産のすべてを残された一方の配偶者に相続させる旨の遺言書を残しておいたとしても、兄弟姉妹が財産を相続することはありません。

夫婦がお互いに書き合う遺言書(夫⇔妻)

 夫婦のどちらか一方だけが遺言書を残すのではなく、お互いに遺言書を書き合う、つまり夫は妻に相続させる旨、妻は夫に相続させる旨の内容の遺言書をそれぞれが書く方法がお勧めです。

夫 ⇔ 妻

夫は「全財産を妻に相続させる遺言」を書き、妻は「全財産を夫に相続させる遺言」を書きます。
お互いに遺言を書き合うことで、どちらか一方が死亡したとしても、残された配偶者が自動的に全財産を相続することができますので、他の相続人と遺産分割協議をする必要がありませんし、精神的な負担をかけることもありません。

単純な話ですが、子なし夫婦にとって、夫婦がお互いが書き合う遺言書の方法は非常に有用ですし、むしろ子供ができる予定がないのなら、絶対に夫婦で遺言書を書いておくべきです。

夫婦で遺言書を書き合う場合の注意点

 夫婦で遺言書を書き合う場合、夫と妻の死亡の順序によって、夫婦の相続財産が流れる家系(夫側か妻側か)が変わってしまうことに注意をしてください。
どういうことかというと以下の図をご覧ください。

夫の山田太郎さんと、山田花子(旧姓:佐藤花子)さんの子なし夫婦がお互いに遺言書を書き合ったとします。
夫→妻の順に死亡をしたとすれば、夫婦の財産は佐藤家に流れていきます。
妻→夫の順に死亡をしたとすれば、夫婦の財産は山田家に流れていきます。

遺言者が死亡する前にすでに相続人が死亡している場合には、その部分の遺言は効力を生じることはありません。つまりお互いに遺言書を書き合った場合、夫婦の死亡の順序によって財産がどちらかの家系に流れてしまいます。
最初に夫が亡くなった後に妻が死亡すれば、夫の財産は妻に相続され、最終的に妻側の家系が相続します。逆に最初に妻が亡くなって、夫が死亡すれば、夫側の家系が相続します。
このように、子なし夫婦がお互いに遺言書を書き合うと、死亡の順序によって相続財産の承継先(行き先)が変わってしまうことに留意してください。

予備的遺言により財産のゴール(着地点)を決められる

 もし自分達の財産を最終的に渡したい相手(甥や姪など)が決まっている場合には、予備的遺言(条項)を利用して財産のゴールを定めておくのがよいでしょう。

例えば、夫婦が互いに遺言書を書いている状態で、夫の遺言書には「全財産を妻に相続させる。ただし、夫より先に妻が死亡していた場合は、甥○○に全財産を相続させる」と記載し、妻の遺言書には「全財産を夫に相続させる。ただし、妻より先に夫が死亡していた場合は、甥○○に全財産を相続させる」記載しておくのです。

このようにしておけば、先に妻(夫)が死亡したとしても、妻(夫)から受け取った財産を甥○○に引き継がせることができ、夫婦の片方が死亡したとしても新たに遺言書を作成し直す手間が省けます。

POINT!

子なし夫婦がお互いに遺言書を書き合う場合には、将来的なことまで検討したうえで原案を作らなければいけません。単純な遺言書よりも複雑な構成になりますので、ご自身で書くのが難しければ当事務所までお気軽にご相談ください。

子なし夫婦なら絶対に公正証書遺言にすべき

 子供がいない夫婦なら、絶対に「公正証書遺言」で作成するべきです。自筆証書遺言ではいけません。理由は以下のとおり。

家庭裁判所の検認が不要

 公正証書遺言で作った場合には、配偶者が死亡した際に、手元に保管していた公正証書遺言正本(または謄本)でそのまま執行すればいいだけですから、誰にも迷惑をかける心配はありません。 

 対して、自筆証書遺言で作った場合、遺言執行する前提として家庭裁判所で検認の手続きをしなければいけません。手続きが面倒なこともそうですが、何よりも、検認手続きは「相続人全員」が家庭裁判所に呼び出しを受けてしまうことが厄介です。
子なし夫婦の一方が死亡した場合、亡くなった配偶者側の親族が、ぞろぞろと家庭裁判所に呼ばれますので、配偶者側の親族達に面倒をかけてしまうことになります。
それに、遺言書を開封して「全財産を妻(夫)○○に相続させる。」なんて書かれていたら気まずい思いをしてしまうはずです。

ちなみに法務局に保管した遺言書は検認不要ですが、遺言書情報証明書の交付請求をしたタイミングで他の相続人に通知がいってしまいますので、やはり公正証書遺言を選択すべきなのは間違いありません。

紛争予防

 家庭裁判所で争われる遺言書の無効事件の大半は、自筆証書遺言です。正式な公正証書遺言で作成した場合には、遺言書自体が無効として争われることはほとんどありません。
そのようなことはないと思いたいですが、お金が絡むと実際どうなるかはわかりません。自筆証書遺言で書かれたものだと、亡くなった配偶者側の親族が、その遺言自体が無効だと争ってくる可能性も否めませんので、紛争予防の観点からも公正証書遺言で作っておくべきなのは間違いありません。

夫婦で遺言書を作成する注意点

 民法の規定で、遺言は2人以上の者が同一の証書ですることができないと定められています。これは自筆証書遺言を作成する場合に問題となることですが、遺言の内容が同じだからといって夫婦が同じ書面において共同で遺言書を書いてしまうと、せっかく書いた遺言書は無効になってします。

夫婦共同遺言が禁止されている理由

 前提として遺言書は自由な意思で作成及び撤回できなければなりません。ところが共同で遺言書を作成するとどちらか一方が遺言の内容を撤回したい場合であって、自由にすることができなくなる可能性があるため禁じられているのです。過去に1通の遺言書で作成されていたとしても夫の部分、妻の部分の2つの遺言書を切り離すことが可能であるということで有効とした判例もありますが、裁判所で有効か無効かを判断しなければいけなくなるような遺言書を作成することは避けた方がよいでしょう。

夫婦は別々の遺言で書く

 このように夫婦で同じ内容で遺言書を作成する場合であっても2人で1通の遺言書を作成するのではなく、夫の遺言書を1通、妻の遺言書を1通で合計2通の遺言書を作成しなくてはならないことに注意してください。
なお、公正証書遺言を夫婦で作成する場合には、公証人手数料は、夫婦それぞれ(2通分)発生しますのでご注意ください。

子供がいない夫婦こそ遺言書を

 ここまで解説をしてきたように、子供がいない夫婦の一方が亡くなると、相続手続き上で亡くなった配偶者側の親族と遺産分割協議をしなければいけなくなってしまいます。
意外にも、その認識を持っている方が少なく、「遺言書は子供ができてから作ればいい。」と間違った解釈をしてしまっている方が沢山いらっしゃいます。
むしろ、子供がいないからこそ遺言書を作るべきという正しい理解をしていただき、お互いの夫婦のために遺言書を残すようにしてください。

若い子なし夫婦にも遺言書は必要か?

 若い夫婦の場合、今後のライフプランに応じて考えていく必要があります。子供を作る予定があるのかそうでないのか。
ご高齢者に比べて、年齢の若い方々は、自分の「死」について考える機会が少ないと思います。もちろん、年齢が高い方の方が死亡率が高いですから、それは当然のことです。
しかし、このご時世、誰がどこで亡くなるかわからない世の中になりましたので、年齢に関わらず、子供のいない夫婦は遺言書を残しておくべきことに違いはありません。

DINKs夫婦と遺言書

 DINKsとは、「Double Income No Kids」の略で、ディンクスと読みます。夫婦が共働きで子供を持たないという意味です。
昔は、「結婚すれば子供を産むのが当たり前」と考える方が多くいらっしゃいましたが、今はそんな時代ではありません。個々が自由な生き方を選択し、自由なライフプランのもと生活をしていく時代ですから、子供を産まないまま夫婦がダブルインカムで働き、自分自身のためにお金を使っていってもいいのではないかと思います。

DINKs夫婦は、お互いが働いているため、夫婦で財産(財布)が分離していることが多いはずです。相手の年収や貯金額を知らないような状況であれば、夫婦で遺言書を書こうと考えるのは難しいのかもしれませんが、どこかのタイミングで、夫婦で話し合い、自分達の死後について考えてみてください。
自分達が働けるうちはいいかもしれませんが、もし働けなくなったときには夫婦で助け合って生きていかなければならないからです。

まとめ

 本記事を読んでいただけたなら、子供がいない夫婦こそ遺言書を作るべき理由を理解してもらえたはずです。
夫婦はお互いに支えあって生きていかなければならないです。子供のいる夫婦に比べて、子供のいない夫婦の方が「自分達の死後」や「財産承継」の話をしない傾向があると統計上のデータでも確認されています。
もしこの記事を読んで、夫婦で遺言書を作るべきだと思っていただけたのなら幸いです。

ご夫婦で話し合いをしていただき、お互いの安心のためにも正式な公正証書遺言を残していただければと思います。

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被相続人代表の有限会社が残っていた
昔の遺言を撤回して公正証書遺言を作成
子なし夫婦がお互いに遺言書作成
ネット銀行の相続手続きを解決

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当事務所の取材・執筆実績

・雑誌「プレジデント」2020.12.18号
・テレビ「NHKクローズアップ現代」2019.12.19放送
・「経理WOMAN」2019 NO.280
・雑誌「AERA」2018.4.15号
・週刊「女性自身」2018.10.2号
・雑誌「AERA」2017.1.23号 他

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よしだ法務グループ代表紹介

代表者のご紹介

 司法書士・行政書士 吉田隼哉

神奈川県司法書士会所属
神奈川県行政書士会所属

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
・司法書士よしだ法務事務所代表
・行政書士法人よしだ法務事務所代表
・NPO法人よこはま相続センターみつば元代表理事
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数
 

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当オフィスのメンバーご紹介

オフィス代表・スタッフなど

  東京オフィス代表 松浦祐大

東京オフィス代表のプロフィール

   八王子オフィス代表 飯田拓直

八王子オフィス代表のプロフィール

      接客担当 田沢

ここに掲載しきれなかった他のスタッフ一同、お客様のご来店を心よりお待ち申し上げております!

 当オフィスの業務対応エリア

神奈川県・東京都を中心に、千葉県・埼玉県のお客様もご対応可能!!

神奈川エリア

横浜市中区・西区・南区・神奈川区・保土ヶ谷区・鶴見区・金沢区・磯子区・青葉区・緑区・戸塚区・泉区・港北区・都筑区・栄区・港南区・旭区・瀬谷区・藤沢市・鎌倉市・茅ヶ崎市・川崎市・横須賀市・逗子市・三浦市・小田原市・平塚市・秦野市・厚木市・伊勢原市・大和市・海老名市・座間市・綾瀬市・相模原市、他

東京エリア

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