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更新日:2021/8/31

農地を相続したら
 

記事監修者:司法書士・行政書士 吉田隼哉

農地と相続

 被相続人が農地を所有していた場合、その農地を相続人の誰かが相続をすることになります。

農家を引き継ぐ相続人がいればその人が農地を相続すべきですが、子供達が都会に出てしまって誰も農地を相続したがらないケースが増えています。

本記事では、『農地を相続したら』に着目をして解説をしていきたいと思います。

この記事のポイント!

本記事では、農地を相続した場合の「手続き」「届出」や、「利用予定のない農地」について説明をしています。また、農地を処分・転用するための「農地法許可」も触れながら解説をしていきますので、農地を相続した(相続予定)お客様は是非ご一読ください!

農地の相続

 農地の相続は、農家の後継ぎ問題と大きく繋がっていますので、できる限り家族全体の事として、生前から話し合いをしておくべきです。

また、農地の場合には、宅地と違って簡単に第三者へ売却することができませんので、今後どのように農地を利用していくか、しっかりと決めていく必要があります。

もし、生前に話し合いをしないまま、農地所有者が死亡してしまった場合には、相続人で遺産分割をして農地の承継者を決めていくことになります。

農地の相続手続き

 農地を相続したら、以下の2つの手続きが必要です。

①相続登記(法務局)
②相続の届出(農業委員会)

この2つは申請先が異なりますので、注意をしてください。それぞれ解説をします。

①相続登記(法務局)

 被相続人の登記名義のままになっていますので、その名義を相続人に変更しなければいけません。この名義変更手続き(相続登記)は、農地を管轄する法務局に対して申請します。
ちなみに「相続」により名義変更する場合は、所有者の死亡という本人が意図的に発生させたものではないため、農地法の許可等は不要とされています。 

なお、相続以外(売買や贈与など)の原因により、農地の名義変更をする場合には農地法に基づく許可が必要となります。なぜ名義変更の場合には許可が必要とされているかというと、新しい所有者が勝手に農業をやめてしまい農地以外として利用されてしまうというケースが増えた場合、国の食料自給率が下がってしまい、食料の安定した供給に支障をきたしてしまうからです。

②相続の届出(農業委員会)

 法務局で相続登記を行い名義変更が完了したら、次は農地を管轄する農業委員会に対して届出をしなければいけません。この届出は、相続開始を知ったときから「10ヶ月以内」に農業委員会に対して行います。

なお、10ヶ月の期間制限が設けられている理由は、農地の相続を長期間放置されてしまうと、誰の農地かわからなくなってしまうためです。このような農地を「耕作放棄地」といいます。最近では、この耕作放棄地が増えてきており、社会問題になりつつあるようです。

農地の相続税

 農地も相続財産に含まれますので、相続税の課税対象に含めて計算をしなければいけません。
宅地の場合には、路線価によって課税価格を計算するのが一般的かと思いますが、農地だと評価方法が難しいので、注意が必要です。
特に広大な農地や、都市部の中にある農地だと相続税が高額になるケースがありますので、相続税に詳しい税理士へ評価をしてもらうべきだと思います。

ちなみに当事務所では相続手続きのご依頼をいただいた場合には、資産税に強い提携税理士や税務署経験のある税理士をご紹介しますので、評価についてもご相談いただけます。

農地を相続したくない場合

 当事務所は、横浜と東京都ですから、農地が多い地域ではありません。ですが、地方出身者の方から農地を相続してしまった場合の相談を受けることが多々あります。
東京で暮らしているので田舎の農地は相続したくない、といった気持ちを持つ方は大変増えていると思います。 

農地を管理する相続人がおらず、誰も農地を相続したくない場合には、以下の対応策の中から検討をしてください。

農地を売却処分

 農地を利用してくれる方がいれば、その人に売却する方法がお勧めです。意外と農地の近所の方が使いたいと名乗り出てくれることがあるようなので、ご近所にあたってみるのもいいのではないでしょうか。
ただし、第三者に売却したり贈与する場合には、あとで説明する農地法の許可が必要となりますので、ご注意ください。

相続放棄

 相続放棄をすれば、農地を相続することがありませんので、面倒な届出から解放されます。ただし、相続放棄をすれば、農地だけでなく他の相続財産も相続することができなくなりますので注意をしてください。例えば、預貯金や他の自宅不動産を相続して、農地だけ相続放棄をすることはできません。
もし相続放棄をするなら、他の相続財産と総合的に検討をしたうえで、それでも相続放棄をすべきだと判断できた場合にだけ、相続放棄をするべきだと思います。

なお、相続開始を知ったときから相続放棄は3ヶ月以内にしなければいけませんので、早めに検討をされた方がいいと思います。相続放棄について詳しく

農地法の許可とは

 農地の取り扱いは、「農地法」という法律のもとにおこなわれています。日本は国土が極小で人口も多く土地の利用には様々な競合が生じています。そのような状況において、農業生産は、国にとって食料の安定供給を図る上で非常に重要なものであります。その農地を勝手に農地以外のものにするなどといった事から農地を守るために規定されているのが農地法ということになります。

農地法第1条

“この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もって国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする”

農地法では、農地だけではなく採草放牧地も対象になっています。
(農地以外の土地で、耕作または養畜事業のための採草、家畜の放牧に供されるもの)
農地法のなかでも、農地の売買、賃借、転用などについて規定しているのが、農地法第3条、4条、5条になります。
以下で個別に条文を解説します。

農地法第3条
(農地につき、農地として耕作目的のために、売買、贈与、賃借をする場合など、権利の設定や移転をおこなう場合)

◇農地の権利設定や移転をおこなうためには、農業委員会の許可が必要になります。

◇「市町村内に住所がある者が市町村内の農地を取得する場合」には、申請者は農業委員会に申請書を提出し、その後、農業委員会から許可通知が出されます。

◇「市町村外に住所がある者が市町村内の農地を取得する場合」には、申請者は農業委員会に申請書を提出し、その後、都道府県知事の許可を得て、農業委員会経由で許可通知が出されます。

◇原則、農家でない者が農地を取得することはできません。また、取得者がその農地の全てを耕作すると認められること、必要な農作業に常時従事すると認められること、経営面積が原則50a以上であること、通作距離との関係からみて農地を効率的に利用し耕作すると認められることが要件となってきます。この許可を受けないで農地の売買などをおこなった場合には、その効力は生じません。

農地法第4条
(所有者が自らのために農地を農地以外のものへ転用する場合)

農地の所有者自らが転用を行う場合(自己転用)です。例えば、農地に住宅などの建物を建築、資材置き場や駐車場へ変更する場合などがそれにあたります。

◇「4ヘクタール以下の市街化調整区域」の農地を転用する場合には、都道府県知事の許可が必要となります。

◇「4ヘクタールを超える市街化調整区域」の農地を転用する場合には、国との協議を付した上で都道府県知事の許可が必要となります。

◇市街化区域内にある農地を転用する場合には、許可ではなく届出となります。

農地法第5条
(所有者以外の者がその所有者から売買、賃借によって転用する場合)

4条と同じ農地の転用についてですが、自己転用の場合ではなく、農地の所有者から売買や賃借により権利を得た者が転用をする場合です。

◇「4ヘクタール以下の市街化調整区域」の農地を転用する場合には、都道府県知事の許可が必要となります。

◇「4ヘクタールを超える市街化調整区域」の農地を転用する場合には、国との協議を付した上で都道府県知事の許可が必要となります。

◇市街化区域内にある農地を転用する場合には、許可ではなく届出となります。

農地法の許可不要の例外

国、都道府県、指定市町村が農地の転用をする場合、許可は不要とされています。

学校や社会福祉施設、病院、庁舎などのために転用する場合には、許可権者と協議をおこなう必要があり、その協議が整った場合には許可を受けたものとみなされます。(指定市町村とは、農地転用許可制度を適正に運用し優良農地を確保する目標を立てるなどの要件を満たしているものとして、農林水産大臣が指定する市町村のことです。)

農地の転用

 農地転用の条件を満たしていることが前提となりますが、農地として利用しないのであれば、宅地や駐車場に転用して別の方法として利用してみてはいかがでしょうか。

農地から宅地等に地目変更することができれば、売却するのに農地法許可もいりませんし、アパートを建てて賃料収入を得ることもできます。
ただし、明らかに周りが田んぼや畑だけの場所であったり、市街地から離れているような場所では、農地転用することができないことの方が多いです。
もし農地転用をすることができるなら、その土地の価値は一気に高まりますし、自由に処分等をすることもできますので、相続放棄を検討する前に一度調べてみることをお勧めします。

農地の相続まとめ

 農家を継いで農地を使っていく相続人がいれば何らの問題が生じないのかもしれませんが、利用予定のない農地を相続してしまうと非常に厄介です。

相続登記を放置することもできませんし、農地の管理を怠れば、近所に迷惑をかけてしまうことも考えられます。

今後、地方出身者の方が農地を相続することが増えていくものと思われますので、どのような方法で遺産分割を進めていくべきか、相続の専門家として悩ましい問題ではありますが、しっかりとお客様に寄り添いながら実務をこなしていきたいと考えています。

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母親に遺言書を書いてほしい
遺留分を支払って相続手続きを解決
再建築不可の相続した戸建てを換価分割したい
放置された遠方の空き家を処分したい
業者から購入希望の連絡を受けて相続登記
相続税の納付資金を売却代金で用意
相続手続きを至急で完了
相続した駅前の賃貸マンション一棟を遺産分割
出張で病室に出向き遺言書作成をサポート
疎遠な叔父の相続手続き
相続した土地を分筆して兄弟で分けた事例
遺留分権利者がいる場合の相続手続き
相続で代々引き継いできた土地を処分
相続と贈与を使って自宅名義の権利調整
多額のローンが残ったアパートを相続
遺言の内容と異なる遺産分割をして解決
高齢な相続人が複数いるケース
全く知らない相続人が判明した事例
相続した空き家の控除を使って換価分割
遺産分割前に相続人の一人が死亡した事例
貸金庫に多額の現金が見つかった事例
遺言を公正証書で作り直し
田舎の土地を相続放棄したい
公正証書遺言を親に書いてほしい子の相談
相続したマンションの名義変更
相続手続きの途中で遺言を発見
付言事項つきの遺言に思いを残す
子供のいない夫が死亡した相続手続き
法定相続情報を使った相続手続き
相続した実家の名義変更を解決
借地上のアパートを相続してしまった

登記識別情報が見つからない相続手続き
遺言執行者から委任を受けて解決
団体信用生命保険を使う相続案件
成年後見人と遺産分割をして解決
相続財産が不明な場合の遺産相続

遺言を子供たちに内緒で作った事例
父親が亡くなったことによる遺産分割
子供のいない夫婦がお互いに遺言を書く
両親が亡くなった後の遺産分割を解決
多額の生命保険金で相続税がかかる事例
疎遠な父親の財産を相続放棄
相続したタワーマンションの名義変更
公正証書での遺言を作成した事例
部屋で亡くなったマンションの売却を解決
田舎の土地と自宅をセットで売却処分

遺産相続と会社の清算を同時に解決
父親に遺言書を書いてもらいたい
未成年者の特別代理人を選任した事例

子供の1人が相続放棄をしてから遺産分割
相続登記の移転漏れを解決
故人の遺言書が複数見つかった事例
甥と姪が相続人となった相続を解決
被後見人が死亡した相続手続きを解決
仕事が忙しい相続人の代理で手続き

相続税の基礎控除を超える遺産の相続手続
空き家を解体して更地で売却した事例
相続した共有持分の相続登記をした事例

証券保管振替機構に開示請求した事例
職場近くの事務所に相続手続きを依頼
途中までやって断念した相続を解決
無効な内容の自筆証書遺言が見つかった
急死した母親の相続手続き
相続した自宅の名義変更と相続税申告
相続した未登記建物の名義変更
相続したゴミ屋敷を遺品整理後に売却
借金まみれで亡くなった父親の相続放棄
役所の相談会で解決できなかった相続
胎児が相続人となった相続を解決
相続した土地を遺産分割で解決
孤独死した叔父の相続財産を遺産分割
自殺した兄の遺産を相続放棄した事例
遺留分合意書を交わして解決した事例
孤独死があった家を売却処分した事例
貸金庫の解約を含む相続手続きを解決
昔の遺産分割協議書で相続登記した事例
相続登記の義務化の前に名義変更したい
コロナ禍における遺言作成
お客様作成の遺産分割協議書で相続登記

コロナで帰国困難な相続人からの依頼
数次相続が複数発生している相続
自殺があった家を売却・現金化して解決
相続した実家を兄弟の共有名義にする
独身で子供のいない兄弟の相続
遺言検索システムを利用し遺言を発見
離婚した父親が亡くなった連絡を受けた
法定相続分の登記後に遺産分割した事例
遺言執行者選任申立て後の相続手続き
付言事項で紛争を回避した事例
株式が主たる相続財産の遺産分割を解決
滞納税金を相続放棄して解決した事例
法定相続情報一覧図で金融機関の相続
相続放棄の期間伸長を行い財産調査
エンディングノートで遺言の存在を知る
被相続人代表の有限会社が残っていた
昔の遺言を撤回して公正証書遺言を作成
子なし夫婦がお互いに遺言書作成
ネット銀行の相続手続きを解決
叔母に遺言書を書いてもらった事例
検認済みの自筆証書遺言を使った相続手続き
親の終活として公正証書遺言を作成
未申告の相続税と相続手続き
自宅内で亡くなっていた叔父の相続

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当事務所の取材・執筆実績

・雑誌「プレジデント」2020.12.18号
・テレビ「NHKクローズアップ現代」2019.12.19放送
・「経理WOMAN」2019 NO.280
・雑誌「AERA」2018.4.15号
・週刊「女性自身」2018.10.2号
・雑誌「AERA」2017.1.23号 他

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 司法書士・行政書士 吉田隼哉

神奈川県司法書士会所属
神奈川県行政書士会所属

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
・司法書士よしだ法務事務所代表
・行政書士法人よしだ法務事務所代表
・NPO法人よこはま相続センターみつば元代表理事
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数
 

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