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遺言書の保管場所について

更新日:2021/9/28

遺言書の保管場所について

記事監修者:司法書士・行政書士 吉田隼哉

遺言書はどこにしまっておくべき?

 新型ウイルスの感染拡大による未曾有の事態、経済の不安定、終活ブームなど、様々な要因によって遺言書の需要が高まっています。
当事務所の遺言作成依頼の件数も年々増え続けていますし、今後も増加傾向であることは間違いありません。

当事務所がお客様から受ける最も多い質問に「遺言書をどこに保管しておけばいいですか?」といったものがあります。
この遺言書の保管場所は非常に重要なことで、誰にも見つからないまま遺産分割をされてしまうと、せっかく遺言書を作った意味がなくなってしまいます。
本ページでは、『遺言書の保管場所』に着目して詳しく解説をしていきたいと思います。

新型コロナの影響により遺言書の需要が増加している

 新型コロナウイルスの影響で、遺言書の作成の需要が増えています。(関連記事:新型コロナウイルスと遺言書
これは、「いつ何が起こるのかわからない」という現状を意識して作成される方が多いからと考えられます。ただ、それだけが理由ではありません。

新型コロナウイルスによって、現在施設や病院に入所、入院している方に面会することができません。つまり、施設や病院に入ってる方は、親族、第三者に会うことができない状況です。

遺言書は公正証書遺言で作成するのがベストです。
公正証書遺言を作成する際は、遺言者は必ず公証人、証人立ち合いのもと遺言書を作成する必要があります。しかし、新型コロナウイルスの影響で面会ができない現状では公正証書遺言を作成したくてもできないのです。

そのため、施設への入所、病院への入院の可能性のある方の公正証書遺言の需要が増加しています。
今までは、「何かある前に」を考えて公正証書遺言の作成を行っていた遺言者が、もっと積極的に遺言書について考え、作成をしています。

なお、既に施設に入所、病院に入院している場合の対策としては、自筆証書遺言で作成をするのか、それとも入院先・入所先の施設にお願いをして、公証人と証人2名が病院内に立ち入ることの了承をしてもらうか、2択となります。

遺言書の保管場所を間違えた3つのリスク

 遺言書の保管場所間違えてしまうと、どういったことになるのでしょうか。
以下に典型的な3つのリスクを挙げておきます。

1.相続発生後に遺言書が見つからない

 遺言書の保管場所を間違えてしまった場合の一番のリスク。それは、遺言書が誰にも発見されないことです。

遺言書が誰にも発見されなければ、遺言書の内容を誰も知ることはできず、遺言者の相続の希望を叶えることができません。すなわち遺言書を作成したこと自体が無意味だったことになります。
生前に相続人に遺言書の存在を伝えてない限りは、相続人が遺言書を探す可能性は低く、保管場所を間違えると遺言書は見つかりません。
仮に遺言書の存在を相続人に伝えておいたとしても、その場所を教えていなければ、遺言書が見つけられないこともあります。

2.遺言書の発見までに時間がかかってしまう

 遺言書が見つからず、遺言書作成が無意味になるよりはマシではありますが、遺言書の発見が遅れることも問題です。

被相続人が亡くなり相続が開始すると、相続人は行わなければならない作業がたくさんあります。そして、相続に関する作業を行う上で相続の方向性は早めに確定しなければいけません。
しかし、遺言書が見つからないと相続の方向性を相続人は確定することができず、進めなければいけない相続作業が一向に進まず、相続人の負担が大きくなります。

3.複数の遺言書のうちの1つしか見つからない

 遺言書を複数作成する遺言者はあまり多くはありませんが、自筆証書遺言で遺言書を作成した遺言書によくあるパターンです。(関連記事:遺言が複数見つかったらどうなる

以前作成した遺言の撤回を行う新たな遺言書で行う、または財産ごとに遺言書を作成したことにより遺言書が複数存在する場合に、保管場所を別々にしたせいで、一部の遺言書しか発見されず、発見した遺言書のみをもとに相続が行われてしまうリスクです。
①と同様に遺言書が発見されなければ、それは遺言書を作成した意味がなかったのと同じことです。
遺言書を複数作成している場合は、同じ場所で保管をするか、遺言書の保管場所を予め情報としてまとめておいて方がよいです。
相続人は1通でも遺言書が発見されれば、他に遺言書がないと考えます。


 以上のように、遺言書を作成しても保管場所を誤ると、遺言者の意思を相続に反映させることはできません。

遺言書が相続人が発見しやすい場所に置くことが重要です。
ただ、相続人に遺言書の存在を知られたくない遺言者もいます。遺言書の保管場所は遺言者の希望に沿って、保管場所を選択する必要があります。

以下に遺言書を保管する主な場所を説明しておきます。ご自身が保管しやすい場所を選択してください。

遺言書を保管する主な場所5つ

 遺言書の保管場所はどこがよいのか。
遺言書の保管場所はそれぞれ一長一短があり、遺言者の希望に合う保管場所を選択するのが重要です。以下に遺言書の保管場所について簡単にまとめてみました。

①相続人や親族に保管してもらう

 遺言書発見されないリスクが最も少ないのがこの保管方法です。

相続人や親族が遺言書を保管しておけば、遺言者が亡くなり次第に遺言書を確認することができ、相続手続きの作業にスムーズに入ることができます。
ただし、注意するべき点もあります。
まず、遺言書を預ける相続人や親族が高齢な場合は、遺言者より先に亡くなる可能性があり、その際に遺言者が入院等していたら、遺言者の存在をその他の相続人に発見されない恐れがあります。遺言者でない者が遺言者をもっていた場合は、遺言者自身が遺言書を保管している場合より、遺言書の発見が困難になります。
もう一点、預ける相続人を誤ると、遺言書を隠されたり、破棄されたり、改竄されたりする恐れもあります。

②銀行などに遺言を保管してもらう遺言信託

 銀行などの金融機関に遺言書を保管してもらう遺言信託です。
遺言信託の場合は、公正証書遺言をまず作成し、その遺言書を銀行に預ける形になります。
遺言信託をする場合は、その遺言書を保管する金融機関に口座がありますので、相続人が相続手続きを金融機関にすると自動的に遺言書を発見することになりますので安全です。
また、①と違い相続人や親族に遺言書の存在や内容を知られることなく遺言書を保管することできます。
ただし銀行に遺言信託をすると、その手数料はかなり高額になりますので、その点デメリットと言えます。
あと注意するべき点として、遺言信託をした銀行に口座があることを相続人が知っている必要があります。銀行は遺言者が亡くなったことを自動的に知ることはできないためです。

③遺言者の貸金庫に保管しておく

 遺言者が銀行で借りている貸金庫に保管しておく方法です。
貸金庫にさえ入れてしまえば、遺言書を紛失することはありません。ただ、メリットは遺言書を紛失しない。それだけです。デメリットの方が遥かに多いのが貸金庫での遺言書の保管です。詳細は後述します。

④法務局で保管してもらう方法

 法務局に遺言書を保管してもらう方法もあります。自筆証書遺言に限られますが、遺言者が法務局に遺言書の保管を申請し、遺言書を預けます。(関連記事:自筆証書遺言の保管制度(法務局)
法務局に遺言書が保管されますので、紛失の恐れはありません。また、保管された遺言書は遺言者が生きている間は相続人は内容を知ることができませんので、相続人に遺言書の存在と保管場所だけ教え、内容は秘密にできるメリットがあります。
法務局に遺言書を保管してもらうデメリットは、遺言書の変更、撤回をする際には再度法務局で手続きをする必要があり、遺言者の手間がかかることです。
ただ、デメリットとメリットを比較すればメリットの方が遥かに大きいです。

⑤公証役場で遺言書を保管してもらう方法

 公証役場で作成する正証書遺言は、3通作成されます。原本、正本、謄本の3通です。そして、この中で原本は公証役場で保管されます。(関連記事:公正証書遺言について
公証役場で保管された遺言書は紛失の恐れがなく、また相続人に保管されていることだけを伝えておけば、遺言書の内容を知られることはありません。
デメリットについては、法務局保管とほとんどが同じです。
大きな差異を挙げるとすれば、公正証書遺言作成には手数料が若干掛かることです。

一般的には、正本は遺言執行者、謄本は遺言者本人が保管する場合が多いです。

遺言の所在は明らかにしておくべき

 これら5つが、遺言書の保管場所についてです。

遺言書が発見されないことは大問題ですが、先ほど説明したように遺言書の発見が遅れることも問題です。相続人の相続手続き作業に大きく遅れがでることになるからです。

また、最も問題なのが、遺産分割協議が整った後に遺言書が見つかることです。
せっかく相続人で合意ができたのに、その合意に沿わない遺言書の内容になった場合は、相続人の関係に亀裂を生じさせる恐れがあります。
さらに、遺言書の内容が必ずしも相続人に財産を承継させる内容とは限りません。第三者に財産を承継させる内容の可能性も十分あります。
そうなると、そもそも相続人は財産を承継する資格がなくなるため、相続人を混乱させることになります。

貸金庫に遺言書を保管してはいけない理由

 貸金庫に遺言書を保管してはいけない理由。それは、貸金庫に遺言書保管すると、発見が遅れるからです。

相続が開始し、遺言書の貸金庫の中身を返還(貸金庫の解約)してもらうためには、相続人は貸金庫を借りていた銀行の相続手続きを行わなければなりません。(関連記事:貸金庫の相続手続き
そして、この貸金庫の相続手続きには、戸籍謄本など必要書類を準備し、貸金庫の開扉の日程調整をしなければならず、貸金庫の中身を確認できるまでに数ヶ月の時間がかかります。

つまり、貸金庫に遺言書を保管してしまうと、仮に遺言書の存在を相続人が知っていても遺言書の確認に時間がかかるため、その間相続人は相続の方向性を知ることができません。
更に相続人が遺言書の存在を知らなかった場合には、遺産分割協議を行ってから遺言書が発見される可能性もあり、相続が混乱することになります。

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平成23年度の司法書士試験後、司法書士・行政書士法人よしだ法務事務所を開業。相続・遺言の分野に専門特化し、ご依頼者に対しての総合的なサポートを目指す。テレビ「NHKクローズアップ現代」や雑誌プレジデント・AERA等の執筆、メディア実績多数。
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・テレビ「NHKクローズアップ現代」2019.12.19放送
・「経理WOMAN」2019 NO.280
・雑誌「AERA」2018.4.15号
・週刊「女性自身」2018.10.2号
・雑誌「AERA」2017.1.23号 他

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よしだ法務グループ代表紹介

代表者のご紹介

 司法書士・行政書士 吉田隼哉

神奈川県司法書士会所属
神奈川県行政書士会所属

「開業当初より相続分野に積極的に取り組んでおります。遺産承継業務や遺言執行といった財産管理を得意としております。相続のことならお任せください!」
・司法書士よしだ法務事務所代表
・行政書士法人よしだ法務事務所代表
・NPO法人よこはま相続センターみつば元代表理事
【保有国家資格】
司法書士、簡易訴訟代理権認定、行政書士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引主任者、他多数
 

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  東京オフィス代表 松浦祐大

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